中島敦「文字禍」


中島敦の作品に「文字禍」というのがあります。
その冒頭部分
「文字の霊などというものが、一体、あるものか、どうか。
アッシリヤ人は無数の精霊を知っている。夜、闇やみの中を跳梁ちょうりょうするリル、その雌めすのリリツ、疫病えきびょうをふり撒まくナムタル、死者の霊エティンム、誘拐者ゆうかいしゃラバス等など、数知れぬ悪霊あくりょう共がアッシリヤの空に充みち満ちている。しかし、文字の精霊については、まだ誰だれも聞いたことがない。」

巨眼縮髪の老博士であるナブ・アヘ・エリバが治世二十年目で博士の教え子であったアシュル・バニ・アパル大王から毎晩、大量の粘土板が保管されている図書館の闇の中で、ひそひそと怪しい話声を発っしていると思われる精霊についての研究を命じられたことから始まる。

 博士が膨大な書物を研鑽して行ったが無駄であり、文字を凝視することによって真実を見出そうとしたところ、文字を長く見つめているうちに、いつしかその文字が解体し、意味のない一つ一つの線の交錯としか見えなくなってくることを発見した。そこから博士は文字の精霊の性質を見出していった。また、文字の精霊が人間の目を悪くしたり体をおかしくしたり、人の頭を働かなくすることも発見した。
老儒ナブ・アヘ・エリバは、生れて初めてこの不思議な事実を発見して、驚いた。今まで七十年の間当然と思って看過していたことが、決して当然でも必然でもない。彼は眼めから鱗の落ちた思がした。単なるバラバラの線に、一定の音と一定の意味とを有たせるものは、何か? ここまで思い到った時、老博士は躊躇なく、文字の霊の存在を認めた。
 この発見を手始めに、今まで知られなかった文字の霊の性質が次第に少しずつ判って来た。文字の精霊の数は、地上の事物の数ほど多い、文字の精は野鼠のねずみのように仔こを産んで殖ふえる。
 
博士は文字の精霊の毒気に当たりすぎることを恐れて文字の精霊にアッシリアが蝕まれていることを主旨とする研究報告を手早くまとめて大王に献上した。この研究報告で博士は大王の気分を損ねて謹慎を命じられた。
 最後には数日後に博士は実家の書庫において地震で書架が倒れて落ちてきた書物ー粘土板の下敷きになって文字共の凄すさまじい呪の声と共に圧死する。

もの・こと=ことば だった   2005-05-21
http://nmk.blog4.fc2.com/blog-entry-123.html
ことばの前に意識ありき    2007-09-06
http://nmk.blog4.fc2.com/blog-entry-1043.html

「はじめにことばありき」と聖書にある。「ことばは神なりき」と確か続いた。
「ことばの前に意識ありき」といいたかったのだが、イエス様はことば=意識と考えたのかも知れない。



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